COLUMN

コンサルタントの独り言2

2018年08月

さて、前回からの続きで、今回はキャッシュフロー、つまり会社のお金について書こうと思います。



僕の気のせいかも知れませんが、お金とは卑しきモノ的な話し方をされる人は多いように感じます。
皆さん、会社のお金のことや、売上、利益のことはあまり話しませんよね。
儲かっていれば嫌味になるかも知れないし、儲かっていなければ恥ずかしくて言えません。(苦笑)
分かり易い尺度なので、逆に明らかにできないのかも知れませんね。
ただ、その結果なのか、お金に対する知識・知恵の蓄積は不足しているように感じます。



僕の前職は投資ファンドで、同時にコンサルも行っていました。
いわゆるベンチャー企業に投資をするファンドで、銀行と違い、不動産などを担保にした融資は行いません。
そもそもベンチャーはお金が無く、優良な資産も持っていないので、投資対象となる企業の事業性を評価し、
主にその企業が発行する株式などを買うことにより、その事業の成長に必要な資金を供給していました。



投資先が潰れてしまえば株の価値が0円になるリスクマネーです。
ベンチャーには経営ができる優秀な人材はなかなか居ないため、
投資後はコンサル的支援も行い、その事業の成長を支えました。
自然と、事業とお金に関する感覚は研ぎ澄まされていったように思います。



ベンチャー企業に比べれば、皆さんの会社は非常に優れた資産を持っています。
担保に提供できる土地や建屋があり、工作機械などの事業用資産も揃っています。
また、製品や技術自体を開発しなければならないベンチャーに比べ、
既に売れる製品や加工技術をお持ちで、お客さんまで付いているのです。
明日をも知れぬベンチャー企業の経営者からすれば羨ましい限りだと思います。



ベンチャー企業は何も持っていないので前に進むしかありません。
投資家に約束して集めたお金を使って事業を行い、手元にあるお金が尽きる前に事業を前進させなければ倒産が待っています。
だから何事も早いし、お金に無頓着ではいられません。
そんな厳しい環境なので、死屍累々ではあるものの、中には大きく成長する企業も出てくるのです。



キャッシュフローとはお金の流れです。
売上を回収して原価を支払い(支払いが先のことが多いかと思いますが…)従業員の給料を支払い、と日々お金が動いています。



僕は「稼ぐこと」を目的とした事業は嫌いですが、世の役に立つ事業であれば、
しっかり稼いで継続して欲しいし、できれば拡大して欲しいと思っています。
「稼ぐこと」は事業継続のための絶対条件であり、だからこそキャッシュフローはきちんと管理すべきで、
前号にも書きましたが、一度しっかりとした知識を身につけた方がいいと思っています。



よく、自己資本比率は◯割が健全だとか、現預金残高は月商の◯倍だとか、様々な目安が言われています。
それぞれの目安に、ある程度の根拠はあるのですが、あまり当てにしない方がいいと思います。
必要なお金は、事業の内容や状況によって大きく変わるからです。
事業が伸びている時はお金が必要ですし、景気変動のリスクにも備える必要があります。
業績が悪くなってからでは銀行はなかなか貸してくれませんので、先に動く必要もあります。
そもそも、必要な資金を事業収益で稼ぐのか、借入で賄うのかといった判断も必要です。



そのためには、少なくとも1年分くらいの事業計画を作り、
それに基づく資金繰り計画を作り、それにより資金の過不足を判断します。
借入をする場合は利払いというコストも発生しますので、資金を得るためのコストとして適切かどうかの判断も必要です。



ある程度正確な事業計画を作るためには顧客の事業の動向も知る必要があるので、
日々の営業活動が重要になります。FAXの見積り依頼に回答するだけでは情報は集まりません。
事業計画が絵に描いた餅では意味がありませんし、根拠の無い妄想では話になりません。



経営は全ての活動がリンクしてきます。
経営者は忙しいのです。



それともう一つ。
経営で新たな手を打てるのは、業績がいい時です。
業績が悪くなれば資金は減り、打てる手は限られてきます。
波があるからこそ、いい時に次の手を打ち、次の事業を育てるのです。
経営者は先手先手で動かなければいけません。
そのためには、もっと経営の技術を磨く必要があると思うのです。



最後に、
皆さんがお持ちの事業資産は明らかに財産です。
どれくらい優良な財産かは分かりませんが、ベンチャー企業には無い選択肢があるのです。
どう活かすかは経営の腕次第ですね。

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