COLUMN

太陽と北風

2017年07月

政府の「働き方改革」の進捗が少々怪しくなってきてますね。
今回はその「働き方」について日頃思っていることを書いてみたいと思います。


僕が以前から違和感を覚えていることに「時間給」と「残業」があります。
“時間”給って何だろう?と僕は思うのです。
仕事において大事なのはアウトプット=成果であって、プロセスではありません。
誤解の無いように言っておくと、成果が出せればプロセスはどうでもいいと言っている訳では決してありません。
成果を出すためには、その成功確率を上げるためのプロセスは非常に重要です。
ただ、プロセスにフォーカスしすぎると評価のポイントを誤ると思っているのです。


同一労働同一賃金はその通りだと思いますが、
同一労働とは同等の成果を出す(であろう)労働のことであって、同じ時間椅子に座っていたことではありません。
経営者は、成果を出せなければ売上に繋がらず、稼げなければ給料も払えないことをよく知っています、
と言うか沁みています。(苦笑)


幸か不幸か、僕は残業代と言うものを貰ったことがありません。
最初に入った会社は当時ベンチャー企業で、
正確に言えば一応“見做し残業代”というモノが最初から給料に組み込まれていたのですが、
実際の残業時間とはかけ離れた数字でした。
次に入った会社は年俸制で、どちらも仕事が間に合わなければ徹夜も当たり前といった会社でした。


どちらの会社も実質的に年俸制で、社員に対して期待する成果を予め定め、それに合わせて給料を決めていました。
最初に入った会社では、OJTで先輩社員と一緒に営業の外回りをしていましたが、
ある時タクシーに乗ろうとする先輩に「いいんですか?」と聞くと、
「俺とお前の給料はいくらだと思ってるんだ?タクシーで移動した方が安い。」
と言われ、妙に納得したのを覚えています。
つまり、会社からは給料を上回る成果を求められているわけで、
だらだらと移動して時間を無駄にするなということでした。


極端な例ですが、日産のゴーンさんの年収を時間給に直したら、何と日産分だけで60万円でした。
彼が移動で10分ロスすれば日産は10万円損することになります。
まぁ、ゴーンさんはタクシーなど乗ることは無いでしょうが。


残業については時間の上限規制の議論もあるようですが、これは人それぞれで良いのではないかと思います。
猛烈に働きたい人、または何かしらの目標があって、
例えばその道で名を残したいと思っている人などに足かせをはめるべきではありません。
そもそも会社が、(前述の)同一労働同一賃金にのっとり成果できちんと評価していれば、
“残業という行為”に対して支払うという概念が無くなる筈です。
残業をするしないは成果を出すためのプロセスであって、その要不要は個人の裁量で決めればいいのではないでしょうか?
当然成果を出せなければ給料は下がりますが。


結果として僕はどちらの会社でも割とメリハリの利いた仕事が出来ていたように思います。
ちなみに時間についてはハリハリでしたが(苦笑)、
目標に向かって進む仕事は精神的にはメリハリの利いた面白いものでした。


残業する人がいると帰りづらいからとか、残業しないと出世に響くので帰りにくいと考える人がいるから、
といった理由でそもそもの残業を禁止しようといった論調もあるように聞きますが、
低いところに水準を合わせて均質化しようとする考えは危ういと思います。


国際社会は望むと望まざるとに関わらず、競争社会です。
日本人の一人当たりのGDPを調べてみたら22位でした。
先進国の中では人口が多い方なので、見かけ上、世界第3位の経済大国っぽく見えてしまいますが、
22位という数字は競争力ある国と言えるのか、甚だ疑問です。
低いところに合わせている余裕など無い筈なのですが、危機感が感じられません。


雇用制度を硬直化すると、企業は正規雇用をためらいます。
少なくともこれまではそうでした。太陽と北風の話で言えばまさに「北風」で、
雇用しろ雇用しろと言い続ける結果、企業は身を固くし、雇用が増えない状態でした。
一方、人手不足が顕著になるとその「ためらい」はたちまち消し飛びます。
しばらくは人手不足で労働者側の売り手市場が続く筈です。
であれば、制度や規制という北風を吹かすのでは無く、企業と人を自由にさせる太陽作戦でもいいのではないでしょうか?
優れた仕組みで人材を獲得する会社が出てくれば、皆が勝手にそれを真似する筈です。


太陽と北風にはあまり知られていませんが、実はもう一つのお話しがあります。
帽子を脱がす競争があったのですが、こちらでは北風が勝っているのです。


要は施策も適材適所です。
仕事によっては時間が成果の仕事もあると思います。
時間とアウトプットがある程度リンクする仕事や、何かしらの窓口業務や、
業務内容がきっちりと決められていてその通りの遂行が求められる仕事などは
時間×その人のスキルを反映した時間単価での評価が適切だと思います。


施策は全員に同じように適用するのではなく、メリットとデメリットを把握した上で
その仕事の内容や本人の特性も見ながら柔軟な適用を検討するべきだと思います。


ちなみに、ゴーンさんは日産の社長こそ退きましたが、ルノーのCEOと三菱自動車の会長を兼任しています。
きちんとした成果を出していると株主総会でも認められてのこの報酬ですから、それでいいのだと思います。


求人誌風に書くならば、時給60万円、兼業可!です。
常人にはとても務まりませんが、これも「働き方」ですね。
うらやましい…(笑)

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