COLUMN

風通し

2016年05月

今年もまた新しい期が始まりましたね。
今期もがんばって参りますので、よろしくお願いします。

さて、突然ですが、みなさんは「監獄実験」のお話しはご存知でしょうか?
有名な(悪名高き!?)心理学の実験です。

内容をかいつまんで説明すると、
一般の人を「囚人」と「看守」の役に分けて、監獄に見立てた施設で生活させる実験を行ったところ、
権限を持つ看守役は、囚人役に対して、より高圧的、強権的になっていくという結果になったというお話です。
本当の囚人でも看守でも無い人達であるにも関わらずです。

あまりにも酷い傾向が出たため、実験は6日で中止になったそうです。
興味のある方はネットで検索してみて下さい。

なぜこんな話を書いたかと言うと、権力を持つ人間、
または持たされた人間は同じ傾向に陥り易いという興味深い結論を実験は導き出しているからです。

実験の結論は、
「強い権力を与えられた人間と、権力を持たない人間が、
狭い空間で常に一緒にいると、理性の歯止めが利かなくなり、暴走してしまう。
しかも、その傾向は元々の性格とは関係なく、
役割を与えられただけでそのような状態に陥ってしまう。
だそうです。

組織において強い権力を持つ人間は、常に気をつけておかなくてはなりません。
「小さくて」「閉鎖的な」組織であればなおさらです。

もしかすると最近“はやり”のパワハラもこんなところから生まれるのかも知れません。
いじめや虐待も原因は同じかも知れません。
小さな会社や組織のリーダーは意識しておく必要がありそうです。

もう一つ引用したい有名な話があります。
それは「裸の王様」です。
この話については、もはや説明の必要も無いと思いますが、王様が裸になった理由は、
(王様も含めて)誰もが自分がバカ(≒異端)だと思われたくなかったからです。

現実社会で裸になる人はさすがに居ませんが、
上司や周囲の評価が怖くてモノを言えない組織というのは、実際にはよく見かけます。
こういった組織の上役は、現実社会の「裸の王様」ではないでしょうか?

原因はいくつもありますが、例えば、・上司が怖くてモノが言えない・自分の能力が低いと思われたくなくて質問ができない・無理に楯突くことはせずに無難にやり過ごそうとする(ことなかれ主義)・どうせ変わらないと言って何もしない(あきらめ主義)などでしょうか?

これらは最近散見される大企業の不祥事の原因とも共通するものがあります。
時代に取り残されて投資や製品戦略を誤り、巨額損失を出す大企業が後を絶ちません。
まるで、太平洋戦争時に戦艦大和を造った海軍のようです。
ちなみに当時の海軍は日本を代表する超エリート集団でした。

組織が村社会のような妙な連帯感を持つと、
異論を「おかしな意見」としてシャットアウトし、気づきの機会を失います。
一方で、組織内または組織間で妙な対抗意識を持つと、
相手を打ち負かすことが目的となり、視野狭窄に陥って本来の目的を見失ったりもしがちです。

人の感情は極めてやっかいで扱いにくいモノです。
しかし、これを正しい方向に纏めて行かなければ組織は機能しません。

おかしいことがあれば、誰かがおかしいと言わなければ、事態は何も変わりません。
そして、おかしなルール、姿勢は変えていかなければいけません。

お客さんはおかしいと思っても、なかなか声に出すことはしてくれません。
面倒だし、労力も掛かるし、そもそも付き合わなければいいやとなり、
静かに立ち去るのが普通なのではないでしょうか?

シャープにパナソニック、東芝に三菱自動車・・・。
最近の企業の衰退や不祥事、事件を見ていてふと2つの話を思い出しました。

上に立つ者は、内にも外にも風通しの良い環境を整え、
決める時は自分の責任で決める。
権限と責任はセットです。
責任が大きいがゆえに、強い権限を持つのです。

であればこそ、風通しのよい、
柔軟かつ機動的な組織環境を整備する責任があると思っています。

おわり

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