COLUMN

カッコよく!

2016年03月

先日、久しぶりに会った友人達と飲んでいる時、ベンチャー企業についての話題になりました。
ちなみに「友人達」とは、独立起業した経営者や、ベンチャー企業のマネージャーだったりです。
そのうちの一人は、「(ベンチャー育成の)仕組みが今のままでは、いい企業が生まれるとは思えない。
国が支援して、しっかりした企業が生まれる仕組みを作るべきだ。」と話していました。
彼の主張は、日本のベンチャーは、“金儲けを目的”とした企業が目立ってしまっており、
後に続こうとする企業の目標や手本にならない、ということでした。


確かに新興市場で一般に名の知れた会社は、スマホゲームの会社であったり、通信アプリの会社であったり、
そもそも何が主たる事業なのかよく分からない会社もあったりします。
本質的に世の中の役にあまり立たないような事業を営んでいても、売上や利益がしっかり出ていさえすれば、上場は出来てしまったりします。
国が関与すべきかどうかは別として、事業にしっかりとした社会的な意義や価値があり、
自社の事業に信念を持った企業が育つ仕組みづくりは非常に大事だと思います。
友人が言わんとしているのは、目標や憧れの対象となり得るような企業が、きちんと評価される仕組みが必要だということです。


前回も書きましたが、スポーツの世界ではJリーグができ、サッカーのレベルは格段に上がりました。
スター選手が憧れの存在となり、それを目指す選手やコーチ、
将来のスターを目指す少年少女がサッカーのレベルの向上に大きく貢献したのだと思います。
純粋に「カッコイイ」と思える成功例の存在が、人を本気にさせ、そして動かします。
成功を信じる気持ちが原動力となり、努力する人の層が裾野となり、全体のレベルを引き上げるのです。
その意味では、最近紆余曲折を経て立ち上がったBリーグ(バスケット)も、その成功を祈念してやみません。ぜひ頑張って欲しいですね。


さて、企業の話に戻ります。
企業と言うと、その規模に依らず、どうも「悪しきもの」として見ようとする風潮があるように感じます。
不祥事があれば、それ見たことかとバッシングの嵐。利益を計上すれば「無用にお金を溜め込んで」といった批判が起きがちです。
下手をすれば、利益を出すこと自体が悪しきことのように語られることもあります。リスクへの備えも大事なのに、先に株主や従業員に分配しろといった主張は的を射ません。国のリーダーである政治家にも、そのようなことを平気で言う方がいらっしゃるのは大きな問題だと思います。


そもそも、企業もお金も概念もしくは仕組みでしかなく、
企業というものを実際に運営しているのは、そこに集う経営者であり、従業員です。
資産を使って生み出したサービスや商品を世に提供し続け、
その結果生まれた利益を従業員や外注先等に分配するための仕組みであって、
そもそも善とか悪が存在するものではありません。
お金も皆がその価値を信じているから価値を持つと思われているに過ぎず、
物理的な存在の紙幣や貨幣は紙であって、丸い金属のメダルでしかありません。
これらを悪しきモノとするのであれば、それはそう思っている人の心が生み出す妄想なのではないでしょうか。
多くの方が企業から給与として収入(お金)を得ているのが現実であって、それらを悪く言うのは天に唾するようなものです。


一方で、企業の対極にあるように言われるのが、NPOであったり、社会起業家と呼ばれるような人や組織でしょうか?
「NPO」はNon Profit Organizationの略で、直訳すれば非営利組織となりますが、
先述の友人が言うにはNot for Profitが正しいだろう、と言うことでした。
そもそもNon Profitではその組織が提供するサービスや商品を、将来に渡って提供し続けることはできません。
「Non Profitだから」とか「社会のためだから」を理由に利益から目を背ける人は、考えが甘いと言わざるを得ません。
提供するのが良いサービス、商品であれば、顧客が納得する、きちんとした値付けをすべきであって、
それが良いサービス、商品を将来に渡って継続的に提供し続けるために必要なことであり、もっと言えば、後進達の道標ともなります。


「最高のサービスは最高の価格で、最高の顧客に提供する」
「トップランナーは決して安売りをしてはならない」
これは、僕が最初に入った会社の社長や、先述の友人達の言葉です。
新たな事業を世に出そうとするトップランナーが、誤ったマーケットを作ってしまえば、後進達が後に続くことができません。
「NPO」=「ボランティア」では、あまりにもお粗末過ぎます。
行政の補助金に頼って活動するNPOがあまりにも多いのは、こういった過ちが原因だと思います。
価値をつけるべきものに正当な価値を付けないから後進が参入できず、人が増えないから仕組化もできず、
こじんまりとした、広がりのないサービスになってしまうのです。
結果として、その恩恵に預かれる人の数も限定されてしまいます。


組織として取り組まなければ広がりは出ません。そこに利益が生まれなければ事業の価値を提供し続けることも出来ませんし、
社員や仲間、そして顧客にも迷惑を掛けることになります。


目的が「お金を稼ぐこと」で、事業がそのための手段となっているような企業は要りません。
ただ、そんな会社は実は多くないし、そもそも存続し続けることは難しいと思います。
信念が無く、提供できる価値もないような組織やチームには存在意義が無いからです。
一方で、奇特な方々による、独善的な活動も世の中への貢献は小さいと言わざるを得ません。


誤った仕組みやイメージは一度壊して再構築すべきではないかと思います。
本来、人は夢に向かって動く生き物です。
そして、夢や目指すべき未来を示すことがリーダーの役割です。
リーダーは誰もがなれるわけではありませんが、目指すことは出来ます。


日本には優れた会社がいっぱいあります。
そちらに脚光を当てなければいけませんし、
小さな会社でも素晴らしい会社があることを僕らは示さなければいけません。
カッコよくなければ、目標にはなり得ません。

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