COLUMN

ビジネス任せは正しいのか?

2014年11月

「神の見えざる手」という経済用語があります。
これは、経済学者のアダム・スミスが有名にした言葉で、
「市場経済において、各個人が自己の利益を追求すれば、
結果として社会全体において適切な資源配分が達成される(ウィキペディアから引用)」
とする考え方です。
広く捉えれば、企業活動における各社の富の追求も
これに含まれると考えることができ、結果として社会全体に富をもたらすと
捉えられてきたのではないでしょうか?
学問の分野は違いますが、生物の進化論もワリとこの理屈に
当てはまっているような気がします。
生き物の場合は、富の追求=生き残りですね。

さて、最近の話題にエボラ出血熱があります。
随分前からニュースにも登場する病気
(調べてみたら、発見から40年近くが経っていました)ですが、
未だに治療薬がありません。どうしてでしょうか?
誤解を恐れずに言えば、アフリカの“一地方の病気でしかなかった”から
ではないでしょうか?
同じ一地方の病気であったエイズは、西洋東洋に感染が広がった後には
特効薬が開発され、今では発症を抑えることが出来ています。
一地方の、且つ死亡率が高過ぎて広まらなかった病気は、
ビジネス的には、多額の投資を行ってまで治療薬の開発をする対象とは
なりにくかったのだと思います。

あくまで僕の邪推ですが、書いていて気分が悪くなります。
人間は、動植物や菌類などと違い、なるがままでは無く、
「自分の意志」によって未来を選択することが出来る筈です。
お金の追求以外の思考があっても良さそうなものです。

もう一つ、ビジネス的に成立するからいいのか?
と、最近感じることをご紹介したいと思います。
それは、子供をターゲットにしたビジネスです。ゲームや学習塾がこれに当たります。
もちろん、有効に行われた場合には極めて良い効果があることは予め断っておきます。

さて、皆さんは最近のカードゲームをご存知でしょうか?
我々の時代にはトランプか花札くらいでしたが、今ではポケモン(既に古い。。。)
などの、対戦ができる一種のトレーディングカードがかなり流行っています。
トランプであれば、同じカードを使用するので、
勝敗はプレーヤーの知力や駆け引きの巧拙によって決まります。
ところが、最近のカードゲームの勝敗は「カードの強さ」によるところが
極めて大きくなっています。
カードは購入しなければ手に入りません。つまり、勝つためには
強いカードを手にすることが重要であり、その獲得にはお金が必要となります。
一時、「コンプガチャ」がニュースで問題になりましたが、
同じ問題は随所で起こっています。
子供をターゲットにしているので、よりタチが悪いとも言えます。

お金で手に入る勝利って重要ですかね?

ゲーム機はもっとタチが悪いと僕は思っています。
誰もが、いずれは必ずクリアできるように出来ています。
世の中、そんな甘いものでしょうか?
世界は競争に満ちていて、上手く行く人もいれば、そうならない人も沢山います。
時間をただ浪費させ、だれもが一番になれると誤認させるような仕組みって
必要でしょうか?
過ぎ去った時間は1秒たりとも絶対に戻ってきません。
子供達はその時間で一体何を得ることができたのでしょうか?

塾についても一言いいたいのですが、大学全入の時代に、高いお金を使って塾に通い、
小さな頃から私立の学校に通う必要はあるのでしょうか?
同じ経路を辿っても、余程の能力差が無い限り、差はつきません。
見方を変えれば、目立たない「普通の人」になる為に、
多くの時間とお金を使っていることになりませんかね?
本来は、好きな事や得意な事、向いていることを極めた方が、
自分の人生にも、世の中にも役立つと思います。それぞれ才能は違うのですから。

就職率などのデータで親を心配にさせ、お金を使わせるやり方には納得がいきません。
それこそ宣伝方法を規制すべきではないかとさえ思ってしまいます。
そもそも塾に行かなくても高学歴の人や、優れた才能を発揮する人は沢山います。

繰り返しになりますが、人間は動植物や菌類などと違い、
「自分の意志」によって未来を選択することが出来る筈です。
逆の言い方をすれば、自らの意志で未来を変えることは、
人間にしかできないことだと思います。

 一つのものさしで全てのことを計るのでは無く、個人個人が、そして各社が、
自分の関わっている社会や未来を意識して意思決定をすべきだと思います。
なるがままでは動物と何ら変わりません。
「神の見えざる手」も進化しなければいけない時代なのかも知れませんね。

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