COLUMN
羽田の跡地を巨大な一枚田にできないか?
2013年08月
いやぁ暑い日が続きますね。暑さで頭がおかしくなりそうです。
今回は暑さで頭がおかしくなった人が書いた「戯言」だと思って読んで下さい。(笑)
さて、羽田の跡地の活用として産業交流施設等の計画があることはご存知の通りです。
大田を盛り上げる施策として、大いに頑張って欲しいと思っています。
一方で、それ以外の土地の活用について、僕は巨大な一枚田をつくってはどうか?
などと真面目に(!?)考えています。
資料によると、跡地の総面積は53haもあるそうです。
土地は特殊な形状をしているので、使い方が難しいかも知れませんが、
半分を使うことができれば26haもの農地になります。
農地利用は全くの思いつきで書いているのではありません。
皆さんは日本の農家の平均耕作面積をご存知でしょうか?
機械化が進んだ今日においても何と2haしかありません。
たったの100m×200mです。
(農林業センサスによると、実に55%強が1ha未満の耕作面積しか持たない農家です)
ちなみにこの2haとは、田植え機があれば能力にも依りますが、1~2日で田植えが終了する広さです。
参考までに田植え機の値段は、皆さんがよく見かける乗用タイプだと、1台2~3百万円くらいします。
車で言うとミニバンと同じくらいの金額です。
年に数回しか使わない機械に随分なお金をかけるものだと驚きます。
比較の対象は異なりますが、ある調査によると、欧米とも比べられるトラクターにおいては、
1台あたりの年間使用時間は、日本の農家が25~30時間であるのに対し、
米豪では165時間(約6倍)となっていました。
ちなみに平均耕作面積は米国が日本の70倍で、豪州にいたっては何と1,300倍です。
工業で例えるならば、24時間操業の工場と4時間操業の工場が生産性を競うようなものです。
しかも24時間操業の工場の方が圧倒的に規模が大きく、4時間操業の工場の方が機械化が遅れているのです。
これでは勝負になるわけがありません。
農業は国策として何とかするといった論調がありますが、産業である以上、競争には必ず巻き込まれます。
TPPを論じる前に、この誤った構造を直さないことには話しにならないのです。
戸別補償制度(現在は「経営所得安定対策」に名称変更)のパンフレットによると、
2haの土地では米作を行っても、販売収入は226万円にしかなりません。
戸別補償額を加味しても256万円です。
7割強が兼業農家ですからこういった数値にもなるのでしょうが、
戸別補償制度が「農業=赤字」を前提にしているのには、どうにも違和感を感じます。
ちなみに戸別補償制度では経費の全額と家族労働費の8割の収入が補償されます。
農家は食料を仕事で確保出来るので、この補償があれば生活には問題ないのでしょう。
(日本のエンゲル係数は2割強)
僕は、現在の農業のような、構造自体に大きな問題がある産業には、
税金をいくら費やしたところで競争力が上がることはないと思っています。
むしろ進化が止まって競争力は弱まり、お金ばかりが浪費され、じり貧になっていくのではないかと思います。
まず競争力強化を図り、それでも難しいようであれば一時的な支援を行う。
本当にダメなら違う事を考えるべきです。
国が成長期にあって税収も増えた時代であれば、成長産業から富を吸い上げ、分配することも出来たのでしょうが、
もはやそんなことが許される時代ではありません。
赤字を前提にした産業など維持できるわけが無いのです。
僕は何も農業がダメな産業だと言っているわけではありません。
「今の農業のやり方」がダメだと言っているのです。
何度か書いている漁業もそうですが、本気になればいくらでも生産性を上げる選択肢があります。
田植えでは苗を植えますが、これは、根が横に伸びる日本の稲が、安定して根を張れるようにする為の工夫でした。
今は国の機関が、根が縦に伸びるタイプの稲を開発済みです。
直播しても、もみが地中に沈むよう、鉄粉コーティングをもみに施す技術も確立されています。
これらの技術を使えば田植え機は不要となり、直播による稲作が可能となります。
過去の調査では直播の方が、苗を植える手法に比べ、単位面積当たりの収穫量が3割増加することが分かっています。
味や品質の問題もあるのでしょうが、世界が食料難にひた走る中、
国力が落ちつつある食料自給率4割の国がのんびりしていて良いのでしょうか???
前置きが大変長くなりましたが、僕が冒頭に書いたことは、
羽田の跡地に高生産性を実現するための実験農場を作ってはどうかということです。
土地はもともと平坦ですし、高さは0mなので、空港近隣でも高さ規制を気にする必要がありません。
土と水の確保の問題はありますが、そこそこ広い農地が確保出来るので、効率的な農業が出来ます。
ここに大型農機を入れ、GPSで無人化して24時間操業も可能にすれば、少ない農機で効率的な操業が出来ます。
既に鉱山ではコマツの建機が無人操業をしていますから、これも既に確立された技術です。
区画が整備された平坦な農地の方が難易度は格段に低い筈です。
そして大型農機の部品は大田の工業で造るのです。
農機メーカーと上手く組めば、そんなことも可能だと思います。
農機メーカーも今の日本の農業のスタイルが永続するとは思っていない筈ですから、
大型化、効率化の開発を都内という近場の農場で実験でき、
しかも部品の調達もその近隣で出来るのであれば、渡りに舟だと思います。
先進的な国際空港のスグ横に、大田の技術で稼働する先進的な農機を備えた最先端の農場ができるのです。
実験農場ですから、上手く技術が確立できた暁には、同じ技術を違うエリアに移植していけば、マーケットも広がります。
減反をやめて休耕田を復活させ、田んぼの巨大化であぜ道を極少化し、直播で3割収穫量を増やせば、
理屈の上では日本のコメの生産量は今の2倍位になります。
効率化で単位面積当たりの耕作コストを低減させれば、生産性は何倍にも上がります。
こうして競争力を増した米は海外に輸出すれば良いのです。
日本の農業と言うと「高付加価値」ばかりに目が行きがちですが、
今後は食糧を輸出できるくらい十分に確保出来れば、
そのこと自体が大きな価値に繋がる時代になっていくと思います。
少し大袈裟ですが、世界の食料難の解消に向けた大田の技術の挑戦です。
もしかしたら、観光名所にもなるかも知れませんね。(笑)