COLUMN

ものづくり補助金にもの申す!

2013年06月

 去る6月10日、僕は「ものづくり補助金」の説明会に参加してきました。
これは、4月15日が〆切であった、1次公募の第2次〆切分の採択社を対象にした説明会です。
 発表によると第2次〆切分では、10,209件の応募があり、4,162件が「採択」されたとのことでしたので、
競争倍率で言うと、約2.5倍ということになります。
 さて、当日の会場での説明でびっくりしたことがありました。
それは、今回の「採択」は補助金交付の決定では無く、改めて交付申請が必要であり、
その結果、交付決定がなされる仕組みであったということです。
 少し分かりにくいと思いますので、解説しながら説明します。
まず補助金に応募しようとする企業が最初に提出するのが「事業計画書」です。
補助金を申請する開発事業について細かに説明する内容になっており、
相応の時間が無ければ書き上げることはできません。
が、当日の説明によると、これは交付決定を行う為の書類では無かったようです。

 交付申請は、1枚シートの「交付申請書」とその別紙で行います。
別紙は「事業計画書」とほぼ同じ内容で、採択された企業が改めて提出する書類です。
一見しただけでは違いは殆ど分かりません。
実際に、記載内容は一部が異なるだけですが、交付申請の為に再度作成が必要になります。
申請する費用については、より細かに詰める必要があるのですが、
開発をされたことがある方なら分かると思いますが、開発はその途上で様々な軌道修正が発生します。
それを考えると、今時点で細かな数字を精査することに何の意味があるのかとぼやきたくなります。

 さらに驚くのは、交付決定迄のスケジュールです。
交付申請書は提出〆切が8月7日で、交付決定通知発行までの平均的なスケジュールは1ヵ月程とのことでした。
 実際には申請は随時受け付け、順に決定通知を出していくとのことでしたが、
そもそもの書類の準備から数えれば、既に3ヶ月が過ぎようとする中、更に足止めを喰らう事になります。
(交付決定後の支出しか補助の対象にならない為)
 技術は日進月歩で、市場は移ろい易く、企業は日々競争環境に晒されています。
1年は12ヶ月しかありません。
3月の下旬に出来たかも知れない投資を夏まで待たされたのでは企業はたまりません。
 実質的に大した意味を持たない書類の提出で足止めを喰い、先に進めない仕組みとは、
一体何の為の仕組みなのでしょうか?

僕には、全くの無駄な作業としか映りません。
正直なところ、ちょっと怒ってます。
 入口がこれでは出口の書類も簡単ではないと思います。
しかも5年間も書類作成の義務が発生します。
 怒りついでにさらに言えば、開発の結果、事業利益が出た場合には収益納付、
つまりは補助金返納の仕組みがあります。
これは説明会では触れられていませんので、もしかするとお気づきでない方も居らっしゃるのではないでしょうか?
 そもそも企業とは、利益が出た場合は雇用・市場の創出や納税で社会に貢献します。
何故に、企業に無駄な報告コストを掛けさせ、直接返納をさせる必要があるのでしょうか?
結果的に補助金を完済する規模の利益が出る企業にとっては、補助金のメリットは全くありません。
 当然ながら、報告書を作成しても利益は1円も生まれません。
しかも返納を行う為に報告書作成の労力を費やすのでは、担当者も釈然としないものがあると思います。
 他にもいっぱい問題がありますが、キリが無いのでやめておきます。

 そもそも、この制度を設計された方はこういった問題を認識しているのでしょうか?
工業向けの様々な施策が出されるようになったのは歓迎すべきことではありますが、
実運用の面でも活用のし易さをもっと考慮して欲しいと感じます。
 少なくとも企業経営についてもう少しお分かりになっている方が施策を考えるべきだと感じざるを得ません。
当補助金では、管理サイドの仕事が無駄に膨れ上がっています。
 見栄えが立派でも、重要なポイントを外した施策では意味がありません。
どうせやるなら、経営感覚をしっかりと持った、“使える施策”をきちんと打ち出して欲しと切に願います。

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