COLUMN

次をどうするか?

2012年11月

つい先日、パナソニックの今年度の業績予想が7,650億円の赤字になるとの新聞発表がありました。
昨年度は7,721億円でしたから、2年分を合わせると、何と1兆5,371億円の赤字額となります。
財布の中に常日頃1万円も入っていない僕などには額が巨大過ぎて、一体どれほどの金額なのか想像もつきません。
と、悩んでいたところに、工連のある役員の方がいい方法を教えてくれました。
「淺野さん、イメージが湧かないでしょ。
スカイツリーが1個(この数え方が正しいのか定かではありません(笑))650億円よ。
パナソニック一社の赤字でスカイツリーが1年で12個建っちゃうよ。」と教えてくれました。
成るほど、よくわかる説明です。
ちなみにこの数え方でいくとパナソニックの2年分の赤字はスカイツリー24個分ということになります。
これは説明するまでも無く、とてつもない金額です。
少し前まで勝ち組と思われていたパナソニックやシャープの巨額損失、
もっと遡ると日の丸半導体と呼ばれていた時代もある半導体分野でも日本企業の凋落は目を覆うばかりです。

さて、ここで企業の赤字について考えてみたいと思います。
企業の損益は売上-費用です。赤字は費用が売上を上回っている状態で、
その原因は売上が低いか、費用が高いか、もしくはその両方です。
電気製品の場合、今では量販店に行けばサムスンやハイアールの製品が普通に並んでいます。
皆さんは消費者の目で、当たり前のように売り場で製品の値踏みをし、お買い得感のある製品を選んで買います。
そして、その結果が企業の売上になります。
価格に対して納得感の無い製品は購入しません。ただそれだけのことであり、
ライバルが良品を安い価格で提供すれば、そちらの方がお買い得になるのは当然です。
ここで、もう一方の費用について見てみましょう。
消費者としては当たり前のように売り場で製品の値踏みをする人も、
不思議な事に自分の値段=給料になると、突然客観視が出来なくなります。
例えば東京の最低賃金は850円/時間です。8時間働けば6,800円になりますが、
これはバングラディッシュの労働者の月収の倍以上だそうです。
ユニクロが進出しているように、衣料品分野では今やバングラディッシュが世界の工場です。
縫製工場は日本国内には殆ど無くなりました。
品質に明らかに差があった時代はいざ知らず、ユニクロに並んでいるのは安くて良質な衣料品です。
皆さんも何着かはお持ちだと思います。
世界が狭くなった今、日本の労働者が競っているのは、隣にいるライバルでは無く、
遠く離れた国の、名も知らぬ労働者となりました。
スカイツリーのように例えれば、日本の労働者の給料はバングラディッシュの労働者の実に136人分です。
付加価値で勝負しようにも、同じ人間である以上、
136倍ものコストの違いを正当化できる程のパフォーマンスを示すことは不可能です。
口癖である「付加価値」も、ライバルが追いすがり、かつてほどではありません。
メイドインジャパンが高く売れ、日本人の高い製造コストを転嫁できた時代は終わりました。
コストが高いかどうかは消費者には関係の無い話しで、合理的な選択が当たり前のように売り場では行われています。

かつて世界の工場であったアメリカの製造業は、プラントや建機、航空機に軍事といった参入障壁の高い分野にシフトしました。
また、新たな産業として、金融、ITなどを巨大産業に育て上げました。
そこに周到な戦略があったことは誰の目にも明らかです。
どんな技術や産業も、その場に留まればいずれ追い付かれます。
同じものを同じ様に作り続けるのでは現状維持すらままなりません。
常に考え続け、走り続けなければなりません。
追いつかれてしまったのであれば、現状を受入れ、客観視して次にどうするかを考えなければなりません。
政府に頼ってもどうにもならないのは明らかです。自分たちで頑張るしかありません。
これから何が必要で、何をすべきか。
皆が考え始めればそのうちの誰かは答えに辿りつけるかも知れません。
何もしなければ全員が沈むのみです。

知恵を絞って考え、勇気を持って決断しましょう!
結果は分かりませんが、何もしないより百倍マシです。
何より、利益を出さなければ事業を継続することすらできません。
今やるべきことを、みんなで必死になって考えましょう。

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