COLUMN

政府の役割

2011年01月

新年明けましておめでとうございます。
ものづくりの中小製造業にとっては変わらず厳しい環境が続いておりますが、「天は自ら助くる者を助く」と言います。厳しい時こそ一歩踏み出す勇気を持ち、一歩一歩、前へ前へと進んでいきましょう!
今年もよろしくお願いします。

さて、昨年末に民主党の政策で法人税の5%減税が決まりました。今回は批判を恐れず、“一歩踏み込んで”これを評価してみます。
管総理は「企業には国内に投資し、雇用を拡大し、給料を増やして貰う。(中略、これにより)デフレ脱却に繋げたい」と語りましたが、発想が大きくズレていると思います。
まず、世界が不況から立ち直り、元気を取り戻している中、なぜ日本市場は不況を脱せないのか?これは、空洞化が大きな原因のひとつだと思います。
日本企業が海外で現地調達、現地生産、現地販売を行えば、当然ながら国内に恩恵は及びません。なぜ空洞化が起きたかと言えば、極端な表現をすれば、企業が国内に投資を回すことにリスクを感じるようになったからだと思います。

少し脱線しますが、先般の円高局面(まだ続いていますが。。。)での最大の問題は、政府が何の為替対策も打たなかったことだと思っています。随分遅れて日銀が為替介入を行いましたが、その効果は一時的なものでした。各国がこぞって通貨安を競っているときに、(表現は良くないですが)政府と日銀は傍観していました。世界の競争のルールが変わっているにも関わらずです。
これでは企業は自衛に動くしかありません。僕が経営者であれば、減税で浮いた資金は海外投資に回します。それが為替対策や競争力の維持、ひいては企業の継続性に関わる問題への“合理的な”対処法だからです。せっかく経営努力でコストを削減しても為替で実質値上げになってしまえばその努力は報われません。政策を信頼できなければ国内投資にお金は回らないのです。
また、減税を考えるなら、条件をつけるべきです。税率を下げるのではなく、国内での開発投資や設備投資の費用計上を厚めに認める(例えば200%にする)ようにすれば、民から民に自然にお金が流れるようになると思います。政府が介在して富を分配するよりも効率的に成長分野にお金が回る可能性があります。政府は課税のルールを変更するだけで良いのです。リスクは民が自らの責任で負います。
少し乱暴なやり方に聞こえるかも知れませんが、投資の費用対効果の試算は民間の企業であれば、当たり前にやっていることです。市場のニーズを肌で感じている企業に、自らのリスクで投資判断して貰った方が、優れたお金の使い方が出来るでしょう。
もし投資ニーズが無ければ、税金を払って社会貢献をすれば良いのです。

不断の努力で技術を高め、その付加価値で勝負するのが日本の戦い方だと思います。企業が安心して国内に投資できる環境を整備し、企業が自助努力で競争力を高める。
その為にはまず、政策運営への“信頼”を取り戻す必要があるのではないでしょうか。

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