COLUMN

雇用問題について

2010年12月

今回は「雇用」について述べてみたいと思います。今春の大卒の就職率は文科省の発表によると60.8%とのことです。就職率は“卒業した人のうち”の就職した人の割合なので、就職できずに留年を選択した人や、既卒の求職者はその分母に含まれていません。
前年比で7.6%の低下であり、実際の数字以上に深刻な就職難が起きているのです。
また、近年の失業は若年層へのしわ寄せが大きいことも特徴で、15~24歳の失業率は8%と、全世代平均の5%を大きく上回っています。
僕の個人的な考え方ですが、社会人にも「三つ子の魂百まで」はあると思います。学生から社会人になり、初めて入った会社の職文化は今も僕の社会人観のようなものとなって根付いています。この多くの事を吸収する時期に社会の一員になれないことの損失は甚大です。
将来を担う若者を、社会が受け入れられないでどうするのか。我々現役社会人世代の責任は極めて重いのです。

もうひとつ大きな問題があります。不安定な雇用環境は、将来展望を不透明とし、結婚や出産、育児などへ悪影響を与えることが懸念されます。実際に、今年は23年ぶりに結婚数が70万組の大台を割り込む見込みとのことです。
既に超高齢社会に突入した日本に、現役世代の減少による労働人口の減少に加えて、社会保障制度への影響などの大きな問題が出てくるのです。“現在”の雇用問題は、“将来”の日本社会に大きな影を落とすのです。
お隣の韓国では、大統領が「雇用は最高の福祉」と言い切り、産業の育成、海外での営業活動にまい進しています。少しは我々も見習うべきだと思います。
今政府がやるべきことは、国内の企業が海外企業と対等の条件で戦える環境を整備することであり、人口が減っていく社会において無い袖を振り続けることではありません。環境を整備し、その先の外需の取り込みや、産業育成は企業の自助努力に任せれば良いのです。

私が小学生(中学生だったかも知れません。。。)の時に習った国民の三大義務は「教育」「勤労」「納税」でした。少なくとも当時は勤労の機会が無いことなど想定されていなかった筈です。椅子取りゲームに例えるならば、今は参加者の6割しか椅子が用意されていない状態です。皆が座りたがるが、競争は極めて熾烈であり、努力をしても席から締め出される人数は必ず4割となります。学生たちには自ら椅子を用意する力までは備わっていません。企業もゲームのルールを変えられるような強い権限は与えられていません。
現役世代と若者、国と企業が協力して、それぞれの役割を果たし、将来へのバトンをしっかりと繋いで行くことが重要なのです。

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