COLUMN

ものづくりの意義

2010年08月

日本はモノづくりの国とよく言われます。今、その状況はどうなっているのでしょうか?
そして、そもそもモノづくりはなぜ必要なのでしょうか?自分なりの考えを述べてみたいと思います。

日本の食糧自給率は、よく知られているように40%程です。そして、あまり知られていないことのようですが、エネルギー自給率はなんと4%程です。
つまり、日本は生きるために必要なモノの多くを国内で生み出すことの出来ない国であると言えるのです。
海外から資源を買うにはお金が必要ですが、その為にはまず、外貨を稼ぐ必要があります。天然資源のようにその存在自体が価値となるモノが無い国においては、価値を生産し、トレードすることが必須であり、ゆえに製造業は日本において極めて重要な意味を持つ産業であると言えます。
財務省の発表によると、平成22年上半期の日本の貿易収支は3.4兆円の黒字となっていますが、輸出額に占める工業製品の割合は、実に96%を超えます。上半期の貿易収支の内訳を大まかに説明すると、日本は32兆円の工業製品を輸出し、一方の輸入では製造に必要な原材料などを購入していますが、その他に11.3兆円の食料、エネルギー資源を輸入しながら、3.4兆円の黒字となっています。
やはり製造業の貢献は日本にとって、とてつもなく大きいのです。

もうひとつ、製造業の意義として産業の裾野の広さが挙げられます。外貨を稼ぐと共に、多くの他の産業にその富の分配を行っているのです。
製造原価の一部は外注先企業の売上になりますし、その従業員の給料を通して近くの居酒屋の売上にも貢献しているのです。
つまり、最終製品メーカーの売上は、その原価や従業員の生活費などとなって他の産業の売上に大きく貢献しているのです。

さて、今その製造業の土台が揺らいでいます。これまで日本の製造業の多くは大手メーカーなどを頂点とする巨大なピラミッド構造で成長してきました。系列、下請けといった言葉がこれにあたります。これらが機能していた頃は、垂直分業の共同体として競争力を維持することができました。
しかしながら、現在その構造は綻びを見せています。
例えば日本の代表的産業である自動車業界では海外生産比率が、大手8社では約6割(台数ベース)に達し、その比率は年々高まりつつあります。海外に回ったお金の多くは国内には戻ってきません。
国内の高度な加工技術持った中小企業が疲弊し、大手メーカーが海外部品を組み上げるだけのメーカーとなってしまった場合、果たして将来の競争力を維持することはできるのでしょうか?
日本の製造業を取り巻く問題、今後取るべき方策などについて、自身の偏った視点(!?)で述べていきたいと思います。

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